LNG

天然ガスとは、メタンを主成分とする可燃性気体のことで、発熱量が高く、利用と取扱いが容易な優れた燃料です。世界中に石油を凌ぐ資源量があるとされています。
LNGとは液化天然ガスの略で、天然ガスを超低温(-160℃)に冷やすことにより無色透明な液体にしたものです。パイプラインで輸送される気体の天然ガスに比べて、液体のLNGの体積は気体のときの600分の1となり、海上ではLNGタンカーで、パイプラインのない陸上ではローリー車で長距離の輸送ができることが大きな特長です。

LNGは、環境にやさしい特性を持っています。

このような優れた性質のため、ご家庭やお店、ビルや工場で広く使われる都市ガスの原料として、また電力会社の火力発電所の燃料として、日本や世界中で大量に使われています。

日本では、1969年に東京ガスがはじめて米国アラスカよりLNGを輸入し、その後のLNG時代の幕開けとなりました。以来、現在では日本でおよそ6千万トン、世界では約2億トン使用されています。21世紀、LNGは環境意識の高まりのなか、環境にやさしいエネルギーとして、ますます脚光を浴びており、今後も一段とその利用が進むことが期待されています。当社は産業ガスとLNGを組み合わせ、ワンストップでお客さまのニーズに応えるソリューションをご提案しています。

LNG(液化天然ガス) LNGタンカー・LNG(液化天然ガス)

LNGは約-160℃という低温の液体で、この低い温度に由来する特別なエネルギー 〈冷熱エネルギー(略して冷熱)〉をもっています。簡単にいえば、LNGが蒸発して天然ガスに戻る(再ガス化)ときに、周囲から熱を奪い冷却する能力が冷熱です。より専門的には、動力や電力も取り出すことができるLNGに潜在するエネルギーをこのようにいいます。単にものを冷やす以上の、奥の深い何か神秘的な感じもするエネルギーです。

まったく排気ガスを出さず、完全にクリーンな質の高いエネルギー、LNG冷熱。


東京ガス袖ヶ浦工場

このLNG冷熱は、いろいろなことに利用することができます。低温をつくり出すには家庭の冷蔵庫のように電気を使うのが普通ですが、冷熱を使うとその電気が不要になったり、大幅に減らすことができます。
LNG冷熱を利用する設備は、東京ガスの根岸LNG基地や袖ヶ浦LNG基地のように、LNGを大量に扱うLNG基地の周辺に主に立地し、次のようないろいろな用途が実用化されています。

LNG冷熱の用途 LNGプラント
LNG冷熱を利用して
製品・電力をつくる用途
(直接用途)
○液化酸素・窒素・アルゴンの製造
○液化炭酸ガス・ドライアイスの製造
○液化水素の製造
○冷凍倉庫
○冷熱発電
LNG冷熱を使ってできた
液化窒素を利用する用途
(間接用途)
○食品・プラスチック等の低温粉砕
○液化窒素による冷凍食品の製造
○金属スクラップや廃タイヤの低温粉砕

東京ガスケミカルグループは、日本におけるLNG冷熱の利用をリードし、この分野でのパイオニアとして活躍してきました。

LNG冷熱の歩み

東京ガスケミカルグループは、LNGの冷熱を使って「液化酸素・液化窒素」「液化炭酸ガス・ドライアイス」などをつくっています。LNG冷熱のおかげで、電力の使用は大幅に節約できるので(液化酸素・液化窒素の製造では半分)、節約できた電力分に相当するCO2排出量を削減できることになります。

山手線の内側の広さ(約65ku) LNG冷熱利用の今後

資源の乏しいわが国にとって、年々輸入量が増大するLNGがもたらす質の高い優れたエネルギー源
― LNG冷熱 ― を一層有効に活用していくことは、ますます大切な課題となっています。空気液化分離などすでに確立された分野では、事業性を踏まえて、着実に増設していくことが重要です。

今後の冷熱利用の新しい形態として考えられるのが、環境保全・資源リサイクルの分野です。家電製品の自動車などの廃棄物を超低温で処理し、有用な金属資源等を回収・再利用することができれば、地球環境の保全と天然資源の有効利用に貢献します。

さらに新分野としては、LNG冷熱を使って製造した液化窒素(-196℃)の低温を利用する超電導の技術分野、すなわち超電導電力貯蔵・超電導輸送システム等への応用が考えられます。

LNG冷熱利用は、今後の発展に期待が高まっています。

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